国際法
◎
ライトな入門書かと思った(1章扉のイラストが山科けいすけだったから)が、結構骨太。
国際法には強制力(国内法における警察など)がないため軽視されがちだが、「それでも法は法」という立場があることを知る。
ときに無力でありつつも、全体としては少しずつ良い方向に向かって進んできた、ということだろう。
「イラストでわかるDockerとKubernetes」/徳永航平
イラストでわかるDockerとKubernetes
○
イラストで概念をざっくりつかむのには有効だった。
実際に構築して触ってみないと実感は持てない。構築のためのノウハウは別途必要。
「物価とは何か」/渡辺努
物価とは何か
◎
分量はそれなりに多いが、読みやすい。
「消費者物価指数」のような、社会全体の物価水準をどう決めたらよいか。
その上下動の原因になるのは個別商品の価格決定がどうなっているからなのか。
ゲーム理論のような合理的思考で物価の予測は可能なのか。
中央銀行が貨幣を多く供給するとはどういうことなのか。
…というような話題を、経済学者の業績で裏付けながら解説している。
経済学は聞きかじりだけなので、興味深く読んだ。
ただ、こういう話に触れるたびに、「結局、金って何の裏付けもない幻想なんだな~」と思ってしまうのは、性格だからまあ仕方がない。
「亡国のイージス」/福井晴敏
亡国のイージス(上)
亡国のイージス(下)
◎
心躍る大冒険、ではない。オープニング、登場人物の悲惨な生い立ちでもう心が痛い。
海戦部分は「沈黙の艦隊」を彷彿とさせる。戦争というよりはテロ事件かな。
最後は少しだけ救いが感じられる。
「葬り去られた真実」/宮村浩高
葬り去られた真実
◎
日航ジャンボ機の御巣鷹山墜落事故にまつわる疑問を追究。
著者の仮説のすべてが正しいとは思わないが、時系列で提示される事実を追えば誰でも感じるであろう疑問が数々残されていることは確かだ。
市民たるもの、報道・大企業・政府発表を疑う視点は持っているべきである(むやみに否定することはないが)。一読の価値はある。
「語学の天才まで1億光年」/高野秀行
語学の天才まで1億光年
◎
著者の経験(世界のあちこちに行ってだれもやらないことをやる)では、必須のスキルである現地の語学。
体当たりで様々体得してきた経験から、実学として本当に有効な語学習得の方法論を語る。
いつもながらの面白い語り口で楽しめる。
「街の公共サインを点検する」/本田弘之・岩田一成・倉林秀男
街の公共サインを点検する
◎
あるある、ピクトグラムを挿絵扱いとか、固有名詞を英訳して結局英語話者が行き先を伝えられないとか、多すぎる注意喚起とか。
サイン計画にかかわるすべての人に読んでほしい(主に発注側)。
「ビジネス書を捨てよ、街へ出よう」/高山洋平
ビジネス書を捨てよ、街へ出よう
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まあ面白いけど、特に得るものはないかな…(そういう本ではない)。
「内モンゴル紛争」/楊海英
内モンゴル紛争
◎
著者の、分断されたモンゴル人の熱い思いが抑えきれない。
中国の民族同化・人権問題に対して、日本はかつてモンゴルの一部を植民地化した旧宗主国の立場から、より強く抗議すべきだとの主張。
たしかに指摘されている通り、満州国の時代に、日本がモンゴル人に独立の夢を見させたこと、宗主国であったことの認識は薄かった。
「駒形丸事件」/秋田茂・細川道久
駒形丸事件
◎
全く知らない話だったので、興味深く読んだ。
「イギリス帝国を構成する国の国民なら、誰でも帝国内を自由に移動できる」という国是はとても魅力的に思われるが、実際は有色人種に対して適用されなかったという看板倒れだったようだ。
また、今では様々な国からの移民・難民の受け入れに積極的なカナダで、100年前の当時は移民排斥が世論の大勢だったことも意外である。
駒形丸を雇ってインド人移民をカナダへと運んだグルディット・シンは、後年ガンジーの無抵抗・不服従運動の活動家になったという。この事件により強烈な人権・政治意識を持つようになったのだろう。