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「プロジェクト・ヘイル・メアリー〈上〉」/アンディ・ウィアー

 プロジェクト・ヘイル・メアリー
 ◎
 映画にもなって話題の作品、やっと読み始めた。
 途中、司令官の女性がプロジェクト遂行のための人選に悩む場面がある。

「(略)その一連の遺伝子群を持っている人間は平均して7000人にひとりしかいないということなの」
 ぼくは椅子に深くすわりなおした。「うわあ」
「そうなのよ。最適任者を送るというわけにはいかなくなりそうなの。7000人にひとりのなかの最適任者を送ることになるの」
「平均すれば3500人にひとりです」

 3500人にひとり、と言っているのは前向きな主人公のセリフだ。初めは意味が分からなかった。なんでいきなり母数が半分に?
 これは、7000人にひとりの適任者を見つけるための試行回数は平均すれば3500回(1人目は外れ、2人目は外れ、…、n人目は適任!とすると、n=1で適任のこともあれば、n=6999まで外れ続けることもあり、平均すればn=3500に落ち着く)、ということだろう。思い当たるまで時間がかかりすぎてしまった。
 これ、どっちも「平均」と言っているが、原文でも同じ表現なんだろうか?

「小さな黒い箱」/フィリップ・K・ディック

 小さな黒い箱
 ◎
 ブレードランナーの映画しか知らないので、表題作が「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の原型といわれてもピンとこない。今度小説で読んでみよう。
 「ラウタヴァーラ事件」は異星人側の視点で人類が描かれる。こういうのは好き。
 他、「ジェイムズ・P・クロウ」「時間飛行士へのささやかな贈り物」あたりがよかった。

「死のロングウォーク」/スティーヴン・キング

 死のロングウォーク
 ◎
 近未来のディストピア小説。だが、BackyardUltraを走る人なら個々のエピソードをリアルに感じることができる。
 BackyardUltra:1時間以内に6.7kmを走り続ける競技(最後の一人以外は全員失格)、24時間で100マイル
 本作THE LONG WALKのルール設定:時速4マイル以上を保って歩き続ける競技(脱落者は射殺される)、24時間で96マイル
 映画も絶対観たい。

「消えた冒険家」/ローマン・ダイアル

 消えた冒険家
 ◎
 たいへん愛情深く息子を育ててきた科学者・冒険家である父による、息子喪失の物語。
 完璧に近いといってよい子育てをしてきた父親だったが、冒険家は常に消えてゆく運命と隣り合わせなのだった。
 きっかけはYouTubeで紹介動画を見たこと。人気のチャンネルで面白いのでぜひ。

「BORN TO RUN 2」/クリストファー・マクドゥーガル+エリック・オートン

 BORN TO RUN 2
 ◎
 ベストセラー、BORN TO RUNの続編。トレーニングのガイド本だが、前作の登場人物の後日談が載っているのがうれしい。
 シューズに関しては以下の意見に共感。

ロード:「初代のAltra Solstice(アルトラ・ソルスティス)がずっとお気に入りなのですが、そのあとジム用のシューズに路線変更して台無しになりました。

「どんなシューズでも私が最初にするのは、インソールをはがすことだ。あの無駄などろどろの層がないだけで、どれだけ履き心地がよくなるか、きっと驚くだろう」

「網野善彦対談セレクション(1) 日本史を読み直す」/網野善彦

 網野善彦対談セレクション(1) 日本史を読み直す
 ◎
 対談集なので読みやすいが、中世日本の基礎知識があればもっと面白いだろう。充実した脚注に助けられた。
 東国にヤマト朝廷とは別の政権が樹立され、「日本列島=全部日本国」ではない、という世界線があり得たという話をツイッターで見て関心をもった。
 縄文時代には「日本」なんてものはないし、中世でも北はアイヌ・南は琉球・中央部では群雄割拠の地方政権、というのが実態だったとすれば、「日本人はどこから来たのか」などという問いの立て方自体がおかしいのだ。

「中野ブロードウェイ物語」/長谷川晶一

 中野ブロードウェイ物語
 ◎
 サブカルの聖地、中野ブロードウェイ。しかしその上層が高級分譲マンションになっていることはあまり意識されない。住人や店主、関係者のインタビューを交えて、この建物がいかに成立し、当時はどのような位置づけであったのか、が明らかになる。著者も住人の一人であるとのこと。