日別アーカイブ: 2025年6月12日

「オリンピア1996 〈冠〉廃墟の光」/沢木耕太郎

 オリンピア1996 〈冠〉廃墟の光
 ◎
 「ナチスの森で」のシリーズになっているので読んでみた。
 確かに文体は違うし、商業主義オリンピックへの鋭い批判が前面に出ているが、シリーズとして特に違和感はない。
 オリンピックの東京招致が決まったとき、まさに「大義なきオリンピック」と思ったものだ。著者にはこの調子で「オリンピア2021」をぜひ書いてもらいたい。

「スーフィズムとは何か」/山本直輝

 スーフィズムとは何か
 ○
 概要をつかむにはまあまあ役立った。
 師弟関係のたとえで「NARUTO」や「鬼滅の刃」を持ち出されても、私の守備範囲外なのであまり響かず(中東地域のアニメ好きの若者たちの理解の仕方の紹介、という意味は分かるが)。
 以下のようなまとめ方は腑に落ちる。

…この世で起きたことのすべての意味はアッラーだけが知っている。ならば、スーフィズムの修行にとって重要なのは、「真理を理解する」ことではなく、「真理を得たいと志し、修行という旅を生涯にわたって続けていく」その過程そのものに価値を見出すことである。
(第十三章)

…スーフィズムは真理そのものよりもそれに至る過程を重んじるが、…
(あとがき)

 ずっと前に読んだ「火蛾」を再読したくて、その前にスーフィズムを確認しておきたかったのだ。