洞窟ばか
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月別アーカイブ: 2025年6月
「サイバースペースの地政学」/小宮山功一朗+小泉悠
サイバースペースの地政学
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インターネット上の情報空間も、支えているのは結局物理的なインフラである、ということを改めて気にしておきたい。
データセンターや海底ケーブルなどにはそれぞれ適した立地条件があり、地理的に偏って存在している。
「オリンピア1996 〈冠〉廃墟の光」/沢木耕太郎
オリンピア1996 〈冠〉廃墟の光
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「ナチスの森で」のシリーズになっているので読んでみた。
確かに文体は違うし、商業主義オリンピックへの鋭い批判が前面に出ているが、シリーズとして特に違和感はない。
オリンピックの東京招致が決まったとき、まさに「大義なきオリンピック」と思ったものだ。著者にはこの調子で「オリンピア2021」をぜひ書いてもらいたい。
「スーフィズムとは何か」/山本直輝
スーフィズムとは何か
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概要をつかむにはまあまあ役立った。
師弟関係のたとえで「NARUTO」や「鬼滅の刃」を持ち出されても、私の守備範囲外なのであまり響かず(中東地域のアニメ好きの若者たちの理解の仕方の紹介、という意味は分かるが)。
以下のようなまとめ方は腑に落ちる。
…この世で起きたことのすべての意味はアッラーだけが知っている。ならば、スーフィズムの修行にとって重要なのは、「真理を理解する」ことではなく、「真理を得たいと志し、修行という旅を生涯にわたって続けていく」その過程そのものに価値を見出すことである。
(第十三章)
…スーフィズムは真理そのものよりもそれに至る過程を重んじるが、…
(あとがき)
ずっと前に読んだ「火蛾」を再読したくて、その前にスーフィズムを確認しておきたかったのだ。
「オリンピア1936 ナチスの森で」/沢木耕太郎
オリンピア1936 ナチスの森で
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孫基禎(マラソン)の話を知れてよかった。
いや、それどころかレニ・リーフェンシュタールについても何も知らなかったのだが。オリンピアも観てないし。
「古代オリエントの宗教」/青木健
古代オリエントの宗教
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ユダヤ教・キリスト教・イスラム教含めて、「聖書ストーリー」としてくくる見方が面白かった。いわゆる「啓典の民」という自意識の拡大の歴史、なのかな。