イラク水滸伝
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読みたかった本をやっと読んだ。
イラクにはチグリス・ユーフラテス河下流に湿地帯があり、そこに住む人々は統治機構に組み込まれず暮らしてきたという。
反体制派が水郷に集うところを「水滸伝」になぞらえている。
高さ8mにおよぶという葦の群生は圧巻。これは確かに見通しがきかず、狭い水路に逃げ込めばよそ者は攻めることができないだろう。水滸伝の好漢の戦い方に合点がいった。
人類文明発祥の地に近く、湿地民であるが故に太古からの伝統が生きているという面もありそうだ。
マーシュアラブ布=アザールの起源を探るくだりなど、好奇心をそそられる。
一般向けの読みやすい語り口でありながら、学術的にも価値の高い本と思えた。
月別アーカイブ: 2025年5月
「外道クライマー」/宮城公博
外道クライマー
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山ヤではなく沢ヤ。毒のある文章だが面白い。
第一章の那智の滝についてはこれに尽きるだろう。
ずっとやってきた滝登りという私たちなりの自然への触れ合い方を、那智の滝でもやるだけだと思っていた。
その気持ちは理解可能だ。
「太陽のかけら」/大石明弘
太陽のかけら
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登山家の人物を掘り下げる良いドキュメンタリー。
谷口けいさん、ハセツネにも出ていたのか(女子三位)。
良きパートナーだった平出和也さんは2024年に亡くなってしまった。
「ALONE ON THE WALL」/アレックス・オノルド+デイヴィッド・ロバーツ
ALONE ON THE WALL
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そういえば「FREE SOLO」は劇場で観ていた。映画ではあまり人物像や来歴に触れていなかった気がする。本書でアレックス・オノルドについてよく知ってから観ればよかった。