日別アーカイブ: 2025年4月18日

「MORAL 善悪と道徳の人類史」/ハンノ・ザウアー

 MORAL 善悪と道徳の人類史
 ○
 硬い文で読みづらい。これは訳文のせいなのか、原文が硬いからなのかわからないが…。
 長い歴史を解説しようとしているのはわかるが、だいぶ冗長に思えた。
 ニーチェ『道徳の系譜学』では明らかにされなかった人類の“道徳的価値観”の起源…気鋭の哲学者が学際的アプローチで「人類500万年の謎」に挑む!をひととおり事前に読んでいたため、ところどころ既視感。

「地図なき山:日高山脈49日漂泊行」/角幡唯介

 地図なき山
 ◎
 めちゃくちゃ良かった。
 探検家である著者が、地図という予備知識を持たずに山へ入り、その山の形を知ろうとする試み(49日連続というわけではない)。
 今歩いているこの山道と、かつて通ったあの山道がつながることで頭の中にマップを構築してゆく快感は、普通に地図を見る私にも、ある。
 山行の途中で少しずつ書き込んでゆく「概念図」に興奮する。
 地図で地形や行程を予想していてさえ、初めて通る山道は刺激的だ。
 その予備知識なしで進むことは私の技量では無理だが、「世界が地図化する前」である近代以前の旅人は皆、著者が感じたのと同様の感覚を抱いたのだろう。