地図なき山
◎
めちゃくちゃ良かった。
探検家である著者が、地図という予備知識を持たずに山へ入り、その山の形を知ろうとする試み(49日連続というわけではない)。
今歩いているこの山道と、かつて通ったあの山道がつながることで頭の中にマップを構築してゆく快感は、普通に地図を見る私にも、ある。
山行の途中で少しずつ書き込んでゆく「概念図」に興奮する。
地図で地形や行程を予想していてさえ、初めて通る山道は刺激的だ。
その予備知識なしで進むことは私の技量では無理だが、「世界が地図化する前」である近代以前の旅人は皆、著者が感じたのと同様の感覚を抱いたのだろう。