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「戦場出稼ぎ労働者」/安田純平

 ルポ 戦場出稼ぎ労働者 (集英社新書)
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 長期間、人質として拘束されていたジャーナリスト・安田純平氏の著書。
 解放されたときに、「『我々』が頼んで現地に行ってもらったわけではない(から、国が救出に努力する必要はない)」とか、「ジャーナリストと自称して現地入りして、結局国に迷惑をかけただけ」というような、国家主義者たちの唾棄すべき批判があった。
 だが、大手メディアに所属しなくてもジャーナリストとしての活動は有意義なものであるし、むしろ身軽で危険を顧みないスタンドプレーが、本書のような著作に結実し、私たちの知識・認識を豊かにしてくれるのだ。
 本書は2010年発行で、上記の人質事件より前のものだ。著者がちゃんと実績を積んできた人物であることもわかるだろう。
 現地(イラク周辺国)では、イラクの米軍基地等へ出稼ぎに行く、ということ自体が、さほど特別なことではなかったようだ。そもそも「外国へ出稼ぎに行く」というライフスタイルがある程度確立されているわけだ。意外だったのは、「明日食べるものにも困るので仕方なく戦地へ」というケースはなく、むしろある程度の資金を用意できる中流(? 少なくとも貧困層ではない)の人々が、エージェントに費用を払って雇ってもらっている、ということだ。そういうルートを通さずに現地企業に直接アタックしてもまず雇われないということらしい。