ナチュラル・ボーン・ヒーローズ 人類が失った”野生”のスキルをめぐる冒険
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登場人物が多く、話が錯綜している。初読では内容がつかみにくい。次の三つの柱が絡み合い、場面転換を繰り返しながら記述されている。
- 第二次世界大戦中、ナチス占領下のギリシャ、クレタ島。ここを舞台に行われた、ごく少数の英軍工作員とクレタ人レジスタンスによる、ナチスの将軍の誘拐・捕虜計画。不可能な作戦を可能にした秘密は、クレタ人の野生のスキルにあったのか?
- この史実に迫ろうとするアマチュア歴史家と著者による、現代のクレタ島での現地調査。
- 著者自ら、世界各国のナチュラル系トレーニングを体験し、自分の肉体で効果を実感し、そのルーツを説明する。
冒険譚としては、悪役の描写に凄惨さがない(やっていることは大虐殺なのだが)。歴史ミステリーとしては、謎解きが少ない(史実として知らないことではあったが)。
興味深かったのはトレーニングと健康の話。
- マラソンで脱水症と死亡事故を結びつける医学的エビデンスはない(飲料メーカーに踊らされ、喉が乾く前に飲む→水分取りすぎ→低ナトリウム血症、は事故の原因になる)
- 180−年齢(+5)で、脂肪燃焼に適した心拍数がわかる(これを超えると糖質エネルギーを使うようになる)
- 人間は筋肉よりも全身を覆う筋膜による弾みを効果的に使える