月別アーカイブ: 2019年2月

「木曜日だった男」/チェスタトン+南條竹則

 木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)
 △
 NATURAL BORN HEROESで言及されていたので読む。チェスタトンて初めて読んだ。
 古典だからか、訳文もちょっと現代小説に比べると堅くてお行儀が良い感じ。舞台設定はなかなか面白いはずなのに、話そのものはう〜ん、なんだかなぁ?中だるみして冗長な感じがする…。
 

「追われる男」/ジェフリー・ハウスホールド

 追われる男 (創元推理文庫)
 ◎
 イギリス冒険小説の傑作、と言われているらしい。その名に恥じない読み応えでした。
 主人公の手記の形で描かれるサバイバル逃避行。彼が追われることになった事情は要人暗殺未遂。だが、国家の指令でやったのではない、という。その背景、動機は初めは判然としない。読者にとってはミステリー小説でもある。
 最後に鮮やかな一発逆転のカタルシスがある。
 

「ナチュラル・ボーン・ヒーローズ」/クリストファー・マクドゥーガル

 ナチュラル・ボーン・ヒーローズ 人類が失った”野生”のスキルをめぐる冒険
 ○
 登場人物が多く、話が錯綜している。初読では内容がつかみにくい。次の三つの柱が絡み合い、場面転換を繰り返しながら記述されている。

  • 第二次世界大戦中、ナチス占領下のギリシャ、クレタ島。ここを舞台に行われた、ごく少数の英軍工作員とクレタ人レジスタンスによる、ナチスの将軍の誘拐・捕虜計画。不可能な作戦を可能にした秘密は、クレタ人の野生のスキルにあったのか?
  • この史実に迫ろうとするアマチュア歴史家と著者による、現代のクレタ島での現地調査。
  • 著者自ら、世界各国のナチュラル系トレーニングを体験し、自分の肉体で効果を実感し、そのルーツを説明する。

 冒険譚としては、悪役の描写に凄惨さがない(やっていることは大虐殺なのだが)。歴史ミステリーとしては、謎解きが少ない(史実として知らないことではあったが)。
 興味深かったのはトレーニングと健康の話。

  • マラソンで脱水症と死亡事故を結びつける医学的エビデンスはない(飲料メーカーに踊らされ、喉が乾く前に飲む→水分取りすぎ→低ナトリウム血症、は事故の原因になる)
  • 180−年齢(+5)で、脂肪燃焼に適した心拍数がわかる(これを超えると糖質エネルギーを使うようになる)
  • 人間は筋肉よりも全身を覆う筋膜による弾みを効果的に使える

 

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