「若者よ、マルクスを読もう」/内田樹+石川康宏

 若者よ、マルクスを読もう (20歳代の模索と情熱)
 ○
 内容はマルクスの著作の紹介でもあり、細かい文章表現からその真意を読み取ることであったり、と興味深い。ただ、学者2人の往復書簡、という体裁で、「若者よ」って呼び掛けても、肝心の若者には届かないのではないか?と思われた。
 

「量子コンピューターが本当にすごい」/竹内薫

 量子コンピューターが本当にすごい Google、NASAで実用が始まった“夢の計算機” (PHP新書)
 ◎
 門外漢向けのレベル感がちょうど良い。
 親しみやすさの演出のためか、話し言葉以外の平文で関西弁が多用されるのは、関東人にとっては読みづらかった。著者と、構成の丸山篤史と、編集者が、たまたま全員西の方出身だったのだろうか。
 

「実践機械学習システム」/Willi Richert・Luis Pedro Coelho+斎藤康毅

 実践 機械学習システム
 ○
 Pythonの使い方自体に興味があったのだが、ついていけず。その辺の知識はある人が実際の課題をどう考えたらよいか?という視点だった。
 取り上げられている課題の構造が「高校数学からはじめるディープラーニング」等で話題にしていたのと同じだな、とぼんやり思う。
 

「そこにある山」/角幡唯介

 そこにある山-結婚と冒険について (単行本)
 ◎
 著者は冒険に惹かれる理由を「男は出産を体感することができないので、生を実感するためには死の実感が必要だ」といった考えを提示している。ある種の冒険(死の実感)の際に、あるいは事後に、生を実感することは事実だ。ただ、この考え方では、「そのような本能に基づく行動であるなら、なぜすべての男性が冒険に走らないのか、冒険の分野にも優れた女性がいるのはなぜか」の説明がつかない気がする。
 ともあれ、

結婚とは選択ではなく事態である。

とか、

内的感覚としての自由、それは、冒険におけるこの自律度の高まりと本質的に同じなのではないか

などには共感した。
 〈中動態〉の話も面白い。
 

「日本人と山の宗教」/菊地大樹

 日本人と山の宗教 (講談社現代新書)
 ○
 修験道や千日回峰行の解説かな?と思って読んでみた。
 縄文・弥生から日本に根付く山岳信仰があるのかとなんとなく思っていた(そんなにハッキリと考えたことがあるわけではない)が、そうではなく、割と新しい時代の仏教伝来の影響が大きいらしい。
 山の頂上を目指すという意思もかなり時代が下ってからのことで、むしろ裾野・里山が宗教活動の場になっていたようだ。
 越生の黒山がかなり大きな勢力を持っていた時代があったと取り上げられている。
 

「アルキメデス『方法』の謎を解く」/斎藤憲

 アルキメデス『方法』の謎を解く (岩波科学ライブラリー)
 ○
 なんとなく手に取ってみたところ、アルキメデスの著作の一部(写本)が、かなり近代になってから発見されていた、ということにまず惹かれた。
 そして、アルキメデスが図形の求積を行う過程で、微積分に近いところまで至っていた、ということも意外性があった。
 数学史という分野には、通常数学者に求められる論理的思考以外にも、幅広い知識が必要とされるようだ。