「素数はなぜ人を惹きつけるのか」/竹内薫

 素数はなぜ人を惹きつけるのか (朝日新書)
 ◯
 タイトルは新書にありがちな「なぜ〜なのか」。もちろんありがちな通り、その答えは書かれていない。
 内容は面白かったんだが、ゼータ関数が出てくるあたりでちょっと流し読みモードになってしまった。もう一度そこから、流し読みしよう。
 

「ぼくは猟師になった」/千松信也

 ぼくは猟師になった (新潮文庫)
 ◎
 この時代に、猟師として生きることを選択した著者。兼業猟師である。
 漁村育ちだと漁師になる人も多い(もちろんどこかに勤める人の方が多いだろうが)と思うが、山の猟師になるのは趣味のハンターを除いて珍しい。しかも、銃猟ではなく、罠猟だという。
 罠による猟には、なんとなく陰湿なイメージの偏見をもっていたのだが、本書を読んでだいぶ変わった。むしろ文明の利器・銃を利用する方が卑怯、ともいえるかもしれない。
 ともかく、どちらの猟も、野生動物と対話しながら行う知恵比べなんだと思う。
 

「超人の秘密」/スティーヴン・コトラー

 超人の秘密:エクストリームスポーツとフロー体験
 ◎
 副題は「エクストリームスポーツとフロー体験」。フロー体験、フロー状態、という言い方はあまり聞いたことがないが、「ゾーンに入る」「ランナーズ・ハイ」の状態と考えれば、まあいいだろう。一応、定義としては下記が紹介されていた。

  1. 明確な目標
  2. 集中
  3. 自己意識の喪失
  4. 時間感覚の変化
  5. 直接的かつ即時のフィードバック
  6. 能力レベルと挑戦レベルのバランス
  7. 状況を自分でコントロールしている感覚
  8. 内発的な報酬
  9. 身体的ニーズへの認識の欠如
  10. 没頭

 うち、1.5.6.はフローの定義というよりはフローの必要条件だ、と。
 フリースタイルスキー、ビッグウェーブサーフィン、スケートボードなどのXゲーム等々、命がけの危険な舞台を成功させて生還してくるアスリートたちを題材に、そのとき脳はどうなっているのか?どうすれば意識的にその状態になれるのか?を追究する。
 トレランの参考になるかな…。
 
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「犬と鬼 知られざる日本の肖像」/アレックス・カー

 犬と鬼 知られざる日本の肖像 (講談社学術文庫)
 ◎
 初版が2002年なのだが、今読んでも「変わってねーな、日本…。大丈夫か」と思ってしまう。
 著者は日本学・中国学など東洋文化の研究者であり、一般の日本人よりはるかに東洋文化の知識が豊富のようだ。おそらく日本に対する愛情も私などより深いのだろう。日本を愛するからこその、日本社会に対する辛口の警告書だ。
 

「ステートフルJavaScript」/Alex McCaw+牧野聡

ステートフルJavaScript ―MVCアーキテクチャに基づくWebアプリケーションの状態管理
 ○
 流し読み程度。ちゃんと手を動かしながら読めば、本当のJS開発力が身につく気がする。以下、キーワードのみメモ。

  • MVCアーキテクチャのM/V/Cはそれぞれ独立
  • Mモデル:データベースとロジック
  • Vビュー:HTML+CSS+(ロジックを含まない)JS
  • Cコントローラ:MとVをつなぐ(JSとかJSPとかPHPなどなど)
  • ユニットテストのライブラリ、ツール:QUnit,Jasmine,Zombie.js,Ichabod

 

「貨幣進化論」/岩村充

 貨幣進化論―「成長なき時代」の通貨システム (新潮選書)
 ◎
 原始社会での貨幣の発生を描く第一章「パンの木の島の物語」が、畑違いの分野の話にうまく引き込んでくれる。そこから金本位制、ブレトンウッズ体制、変動相場の世界へと歴史をたどってくると、現代の通貨はずいぶん新参者で、たまたま運よく通用してるにすぎないのだな、という気になる。
 

「革命の侍」/マリー前村ウルタード、エクトル・ソラーレス前村

 革命の侍―チェ・ゲバラの下で戦った日系二世フレディ前村の生涯
 ◎
 映画「エルネスト」の原作であるフレディ前村の伝記。映画では映画らしい戦闘シーンやストーリーの起伏が乏しい気がしたので、原作はどうなのか読んでみた。
 書籍の方が、時代背景などの情報量が多くて、理解・共感を得やすい感じはあります。
 それはともかく、ゲバラのボリビア行軍の詳細がこれほど詳しく載っている書籍は他にないのではないか? 増補版 チェ・ゲバラ伝 (文春文庫)ではゲバラ日記の一人称視点だから、はぐれた後衛隊の顛末など載っていなかった気がする。ゲリラ行軍の悲惨さや、ゲバラの戦略ミスについても隠すところなく記されている。
 

「日本人は民主主義を捨てたがっているのか?」/想田和弘

 日本人は民主主義を捨てたがっているのか? (岩波ブックレット)
 ◎
 映画「選挙」の監督が掘り下げる、橋本徹に支持が集まる現象。そのまま、現在の安倍政権支持の状況にも当てはまってしまう。
 表現の自由に干渉されたとき、妥協して実を取る大人の判断をするか?

「もしかするとこうした小さな“不戦敗”がこれまでにも社会で積み重ねられてきたからこそ、いま僕が直面しているような事態が生じているのではないか」

 この感覚は私ももっているので、正当と思えることを言明する不断の努力を続けるしかないのだ。
 

「『坂本龍馬』の誕生」/知野文哉

 「坂本龍馬」の誕生: 船中八策と坂崎紫瀾
 ◎
 坂本龍馬の「虚像」部分がどのように形成されていったのか、の論考。特に、船中八策の成立過程に注目する。最初の伝記を著した坂崎紫瀾の思想背景がキーになる。
 というか、坂崎紫瀾という作家自体、なかなか面白い人物だな。こんな報道もあったところで、タイムリーな読書でした。