「マルクス哲学入門」/田上孝一

 マルクス哲学入門
 ◎
 マルクス主義でも、マルクス経済学でもなく、マルクスの「哲学」入門。
 著作の原典から思想家としてのマルクスの基本的な考え方を導き出し、一般に流布している「社会主義は時代遅れの失敗、マルクスはその理論を作った人」といったイメージとの違いを指摘する。
 

「伴走者」/浅生鴨

 伴走者
 ◎
 勝利への執念を燃やすブラインド・ランナーと、精密な走りが持ち味の「勝てない」伴走者が織りなす、勝負の世界。
 パラリンピック出場権をかけたフルマラソンのレース運びの中に、出会いやトレーニングのエピソードを交え、怒涛のゴールシーンへ。
 一気読み。
 

「非営利組織の経営」/P・F・ドラッカー

 非営利組織の経営―原理と実践
 ○
 とくにアメリカのボランティア組織、キリスト教会などに特化した話。アメリカ文化を理解する上ではよいかも。
 具体的に現代日本のNPO団体などに生かせる内容は少なかったように感じられる。
 マネジメント論というものをあまり読まないのだが、もう少し科学的なアプローチをしているものなのかと思っていた。精神論になっちゃっている気がしました。
 

「アスリートは歳を取るほど強くなる」/ジェフ・ベルコビッチ

 アスリートは歳を取るほど強くなる:パフォーマンスのピークに関する最新科学
 ○
 事例集の域を出ないが、まあ参考になる話もあるかな。著者の語り口は、根拠や効果のないトレーニング法や栄養摂取法であっても、そういう先入観を持たせないように話を進めるので、そこは注意が必要だ。
 

「漫画原作者・狩撫麻礼」/狩撫麻礼を偲ぶ会

 漫画原作者・狩撫麻礼 1979-2018 《そうだ、起ち上がれ!! GET UP . STAND UP!!》
 ◎
 「迷走王BORDER」ボーダー コミック 全6巻完結セット (アクションコミックス)の作者(画/たなか亜希夫)。ひじかた憂峰名義のネオ・ボーダーの続きを心待ちにしている間に、亡くなってしまった。
 ああいう作品を、あの続きを、もう読めないということが決定的になると、ものすごい寂しさを感じる。
 本書では編集者や漫画家による追悼文や思い出話から、狩撫麻礼の人となりが浮き彫りになってくる。いち読者としては、原作者の年齢や生活はうかがい知ることができないので、興味深く読んだ。
 カラオケでブルーハーツ熱唱、とか、若い頃劇画村塾(高橋留美子と同期だったとは…)にはバイクで来ていた、とか、さもありなん。
  続きを読む 「漫画原作者・狩撫麻礼」/狩撫麻礼を偲ぶ会

「頭に来てもアホとは戦うな!」/田村耕太郎

 頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法
 ○
 自分でコントロールできないことにはパワーを使わない。
 う〜ん、わかるけど。それを割り切って進めるかどうか、が時間の使い方や成功への早道なんだろうな。
 わかるかどうかと割り切れるかどうかは別の話。
 

「銃・病原菌・鉄」/ジャレド・ダイアモンド

 銃・病原菌・鉄 上巻
 銃・病原菌・鉄 下巻
 ◎
 二十年前のベストセラーを今頃読んだ。スリリングな論考。訳者あとがきが内容をよく表しているので引用する。

 (略)一万三千年前、最終氷河期が終わった時点では、人類は世界各地で似たり寄ったりの狩猟採集生活をしていた。(略)16世紀には、南アメリカ大陸のインカ帝国をユーラシア大陸からやってきたスペイン人が征服するまでになった。その直接の要因は、スペイン人が持ってきた「銃・病原菌・鉄」であった。(略)なぜ、インカの人びとは「銃・病原菌・鉄」を持っていなかったのか。(略)両者を分かつ究極の要因とは何であったのか。

 結論は、大陸の形状など、民族の居住環境の差異によるものであるという。
  続きを読む 「銃・病原菌・鉄」/ジャレド・ダイアモンド

「死に山」/ドニー・アイカー

 死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相
 ○
 「ディアトロフ峠事件」として知られている、ソ連時代のウラル山脈における遭難事件(初めて知ったけど…)の真相に迫るドキュメンタリー。
 ネタバレになるので詳しくは書かないが、「ある種の自然現象」が原因、との結論が提示される。しかし、その自然現象に対する耐性には個人差があるはずなのに、全員がそれで死亡した、というのは、最後の詰めに欠けるような気がする。
 とはいえ、その説以外には説得力のある結論はなさそうだ。
 語り口は平易で時系列も追いやすく、よくまとまっている。