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「死に山」/ドニー・アイカー

 死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相
 ○
 「ディアトロフ峠事件」として知られている、ソ連時代のウラル山脈における遭難事件(初めて知ったけど…)の真相に迫るドキュメンタリー。
 ネタバレになるので詳しくは書かないが、「ある種の自然現象」が原因、との結論が提示される。しかし、その自然現象に対する耐性には個人差があるはずなのに、全員がそれで死亡した、というのは、最後の詰めに欠けるような気がする。
 とはいえ、その説以外には説得力のある結論はなさそうだ。
 語り口は平易で時系列も追いやすく、よくまとまっている。
 

「絶望の林業」/田中淳夫

 絶望の林業
 ◎
 日本の林業について、常識と思っていることが次々と覆される。

  • 国産の木材は他の建材より高い→原木の丸太一本はA材でも4000円程度、木材価格が建築価格を圧迫する度合いはかなり小さい
  • 皆伐をした後には苗木が植林される→3年程度で植林すれば補助金が出るがチェックはほぼない
  • 林業のために木材の輸出に必死→日本の木材は安いがゆえに輸出が伸びている。品質は関係ない。高い木材や製材品は買われない

 等々。
 

「謎のアジア納豆」/高野秀行

 謎のアジア納豆―そして帰ってきた〈日本納豆〉―
 ◎
 タイ、ミャンマー、ブータン、ネパールなど、中国文化圏の周縁部では大豆を発酵させた「納豆」が日本同様に食されている。いや、日本以上に食されている、という。
 しかも、納豆を作り出す菌は、日本人の常識―「藁でなければできない」―ではなく、ほかの植物の葉でいくらでも作れるのだという。
 日本の風土においても、「アジア納豆」同様の作り方で、実際に納豆ができるらしい。じゃあ、工業化される前の、本来の日本の納豆はどう作っていたのか!? 興味は尽きない。
 

「究極の歩き方」/アシックス スポーツ工学研究所

 究極の歩き方 (講談社現代新書)
 ○
 足形や歩き方の科学的な分析。これが究極の方法論といえるかどうかは別として、なかなか興味深い。私はスクエア型だな。
 加齢とともに横アーチがつぶれて幅広になる、というのはまあ納得である。超長距離を走るようになってより幅広になったような気もするし。

50歳になった時点で、自分の足形や歩き方の変化について意識するかしないかで、その後の人生が大きく変わる

 アシックスは50歳を境界線に商品展開しているらしい。
 

「高砂コンビニ奮闘記」/森雅裕

 高砂コンビニ奮闘記 -悪衣悪食を恥じず-
 ◎
 江戸川乱歩賞受賞作家なのに、いろいろ問題があって生活困窮中の著者が、コンビニ店員として糊口をしのいだ体験を出版。バイト生活(コンビニ経験はないが)は懐かしく、共感を持って読んだ。
 考えてみれば、この著者のことを知ったのは、サハラマラソン関係の調べ物だった。それ以来何冊か読んだが、作品ジャンルが幅広い。久々の著作である本作でも、難癖をつけるような回りくどい修飾表現と、出版界への怨み節は健在だった。
 

「絶滅の人類史」/更科功

 絶滅の人類史 なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書)
 ◎
 人類の内で、ホモ・サピエンスだけが現代まで生き残っている理由を考察。場合によっては、近縁種のネアンデルタール人などが共存する社会生活が、現代でもあり得たかもしれない、というのは魅力的なアイディアだ。
 直立二足歩行のメリット、デメリットについては、BORN TO RUNのランニング・マン仮説も思い出しながら興味深く読んだ。