戦争の法
◎
佐藤亜紀の作品には、常に戦争前夜が描かれている気がする。
現代日本で発生した内戦を背景にしているが、シミュレーション小説とは違う。状況に翻弄されつつ日常を忌避する少年の姿は、普遍的なものに見える。
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「バルタザールの遍歴」/佐藤亜紀
バルタザールの遍歴 (角川文庫)
◎
耽美・頽廃。緻密に描写される世界の中に、異質な超常現象が配置され、ファンタジー物語として面白いものになっている。
ファンタジーノベル大賞だったそうだ。
「食う寝る遊ぶ 小屋暮らし」/中村好文
食う寝る遊ぶ 小屋暮らし
○
ちょっとおしゃれすぎるかなー。建築家だし。エネルギー自給あたりが参考にはなるけど。
「小さな暮らしのすすめ」/月刊「望星」編
小さな暮らしのすすめ
○
ちょっとイメージ違った。思いがけず遠藤ケイが書いていたのはよかったけど。
「典獄と934人のメロス」/坂本敏夫
典獄と934人のメロス
◎
歴史の闇に埋もれた事実を小説で再現するドキュメンタリー。傑作。
関東大震災で崩壊した横浜刑務所の所長・椎名通蔵は、状況に鑑みて囚人の解放を決断した。囚人たちはその信頼によく応え、最終的には全員が戻ってきたという。
また、囚人たちは救援物資の荷揚げなどに積極的に協力したらしい。そういう逸話が残っているものの、公式の記録にはむしろ「囚人が大挙して略奪した」といった根も葉もない噂や、数百人の囚人が未帰還の状態での帰還者人数(ほぼ全員が帰還とは読めない)が記録されているのだという。
そのような公式記録に載らなかった理由、これは想像で描くしかないだろう。だから小説なのだ。
しかし、著者は刑務官出身であり、当事者の子孫に聞き取りを行ったうえで作品にしている。本書の骨子は事実に基づくもの、と考えていいのではないだろうか。
「入門国境学」/岩下明裕
入門 国境学 – 領土、主権、イデオロギー (中公新書)
◎
著者はボーダー・スタディーズという新しい学問分野を開拓してきたのだという。国境学そのものとともに、著者の歩んできた足跡の紹介でもある。
やや内容が詰め込みすぎの感じがしたが、幅広く扱う分野だから仕方ないという面もありそうだ。
ボーダー・ツーリズムは参加してみたい旅の一つ。
「ゆっくり走れば速くなる」/浅井えり子
ゆっくり走れば速くなる
◎
だいぶ古い本なので、最新のスポーツ科学の知見というわけではないが、読むと気持ちはラクになる。
「仕事は楽しいかね?」/デイル・ドーテン
仕事は楽しいかね?
◎
ビジネス書にしては押し付けがましくなくて良い。
タイトルから「楽しむことが成功の秘訣」みたいに捉えると裏切られる。常にオープンであれ、といったところだろうか。
「とてつもない数学」/永野裕之
とてつもない数学
○
「横浜市内に、髪の毛の本数が全く同じ人は複数いるか?」この考え方は覚えておこう、と思いました。
「人を襲うクマ」/羽根田治
人を襲うクマ 遭遇事例とその生態 カムエク事故と最近の事例から
◎
日本国内での遭遇・被害の事例集。北海道のヒグマを含む。
私の行動範囲である奥多摩や秩父の事例も載っていた。参考にしたい。