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「残念な職場」/河合薫

 残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実 (PHP新書)
 ◎
 ピーターの法則(組織に無能な上司が多い理由)が気になったきっかけで読む。

 働く人は評価されると、一つ上の階層に出世していく。そして、いずれは自分の仕事が評価される限界の階層まで出世する。(略)出世に伴って仕事の内容が変わりうまく適応できないこともある。
 (略)必ずしも管理職としての能力に長けているわけではないので、そのレベルで無能と化す

 なるほど。
 本書は日本の職場の様々な風習・事例を取り上げているが、その分析については典拠のある学説・論文に基づいている。主観で断定したわけではないところがいい。
 

「日本が売られる」/堤未果

 日本が売られる (幻冬舎新書)
 ◎
 日本が売られる。誰に? 「今だけカネだけ自分だけ」で突き進む者たちに。

 今私たちは、トランプや金正恩などのわかりやすい敵に目を奪われて、すぐ近くで息を潜めながら、大切なものを奪ってゆく別のものの存在を、見落としているのではないか。

 少なくとも、一般メディアの視点からは抜け落ちている部分だと思う。
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「みんなちがって、みんなダメ」/中田考

 みんなちがって、みんなダメ
 ○
 イスラム神学者である著者の語りを、人生に悩む若者向けに(?)まとめ直した本。
 神の前では、人間はちっぽけで愚かでダメな存在なんだ、という認識が根底にある。これはムスリムに共通の一般的な認識だろう。そういう意味で、イスラム教徒になれば「つまらないプライド」などのこだわりを捨ててラクに生きられる、というのは事実だと思う。
 著者本人は、単にイスラム教徒であるだけでなく、カリフ制復興を目指すというやや過激な思想家でもあるので、

私はイスラーム文明論者なんで、イスラーム的に誤ったものは滅んでもかまわないという立場です。

といった面をもう少し知りたかったんだが、そういう本ではなかったようだ。
 

「戦場出稼ぎ労働者」/安田純平

 ルポ 戦場出稼ぎ労働者 (集英社新書)
 ◎
 長期間、人質として拘束されていたジャーナリスト・安田純平氏の著書。
 解放されたときに、「『我々』が頼んで現地に行ってもらったわけではない(から、国が救出に努力する必要はない)」とか、「ジャーナリストと自称して現地入りして、結局国に迷惑をかけただけ」というような、国家主義者たちの唾棄すべき批判があった。
 だが、大手メディアに所属しなくてもジャーナリストとしての活動は有意義なものであるし、むしろ身軽で危険を顧みないスタンドプレーが、本書のような著作に結実し、私たちの知識・認識を豊かにしてくれるのだ。
 本書は2010年発行で、上記の人質事件より前のものだ。著者がちゃんと実績を積んできた人物であることもわかるだろう。
 現地(イラク周辺国)では、イラクの米軍基地等へ出稼ぎに行く、ということ自体が、さほど特別なことではなかったようだ。そもそも「外国へ出稼ぎに行く」というライフスタイルがある程度確立されているわけだ。意外だったのは、「明日食べるものにも困るので仕方なく戦地へ」というケースはなく、むしろある程度の資金を用意できる中流(? 少なくとも貧困層ではない)の人々が、エージェントに費用を払って雇ってもらっている、ということだ。そういうルートを通さずに現地企業に直接アタックしてもまず雇われないということらしい。
 

「木曜日だった男」/チェスタトン+南條竹則

 木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)
 △
 NATURAL BORN HEROESで言及されていたので読む。チェスタトンて初めて読んだ。
 古典だからか、訳文もちょっと現代小説に比べると堅くてお行儀が良い感じ。舞台設定はなかなか面白いはずなのに、話そのものはう〜ん、なんだかなぁ?中だるみして冗長な感じがする…。
 

「追われる男」/ジェフリー・ハウスホールド

 追われる男 (創元推理文庫)
 ◎
 イギリス冒険小説の傑作、と言われているらしい。その名に恥じない読み応えでした。
 主人公の手記の形で描かれるサバイバル逃避行。彼が追われることになった事情は要人暗殺未遂。だが、国家の指令でやったのではない、という。その背景、動機は初めは判然としない。読者にとってはミステリー小説でもある。
 最後に鮮やかな一発逆転のカタルシスがある。
 

「ナチュラル・ボーン・ヒーローズ」/クリストファー・マクドゥーガル

 ナチュラル・ボーン・ヒーローズ 人類が失った”野生”のスキルをめぐる冒険
 ○
 登場人物が多く、話が錯綜している。初読では内容がつかみにくい。次の三つの柱が絡み合い、場面転換を繰り返しながら記述されている。

  • 第二次世界大戦中、ナチス占領下のギリシャ、クレタ島。ここを舞台に行われた、ごく少数の英軍工作員とクレタ人レジスタンスによる、ナチスの将軍の誘拐・捕虜計画。不可能な作戦を可能にした秘密は、クレタ人の野生のスキルにあったのか?
  • この史実に迫ろうとするアマチュア歴史家と著者による、現代のクレタ島での現地調査。
  • 著者自ら、世界各国のナチュラル系トレーニングを体験し、自分の肉体で効果を実感し、そのルーツを説明する。

 冒険譚としては、悪役の描写に凄惨さがない(やっていることは大虐殺なのだが)。歴史ミステリーとしては、謎解きが少ない(史実として知らないことではあったが)。
 興味深かったのはトレーニングと健康の話。

  • マラソンで脱水症と死亡事故を結びつける医学的エビデンスはない(飲料メーカーに踊らされ、喉が乾く前に飲む→水分取りすぎ→低ナトリウム血症、は事故の原因になる)
  • 180−年齢(+5)で、脂肪燃焼に適した心拍数がわかる(これを超えると糖質エネルギーを使うようになる)
  • 人間は筋肉よりも全身を覆う筋膜による弾みを効果的に使える

 

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