「銃・病原菌・鉄」/ジャレド・ダイアモンド

 銃・病原菌・鉄 上巻
 銃・病原菌・鉄 下巻
 ◎
 二十年前のベストセラーを今頃読んだ。スリリングな論考。訳者あとがきが内容をよく表しているので引用する。

 (略)一万三千年前、最終氷河期が終わった時点では、人類は世界各地で似たり寄ったりの狩猟採集生活をしていた。(略)16世紀には、南アメリカ大陸のインカ帝国をユーラシア大陸からやってきたスペイン人が征服するまでになった。その直接の要因は、スペイン人が持ってきた「銃・病原菌・鉄」であった。(略)なぜ、インカの人びとは「銃・病原菌・鉄」を持っていなかったのか。(略)両者を分かつ究極の要因とは何であったのか。

 結論は、大陸の形状など、民族の居住環境の差異によるものであるという。
 
 枝葉末節だが、著者の見解に違和感を覚える点もあったので記しておく。

  • 文化の定着の例としてキーボードのQWERTY配列が「当初はあえて非効率にするために採用された」という俗説が紹介されているが、あくまで俗説だったと思う
  • 中国の社会と対比して「ヨーロッパや西アジアは改宗を強制する宗教によって植民地化や征服を行った」とイスラム教を含めて述べているが、イスラム社会は人頭税を払うことにより異教徒を包摂する社会だったのではなかったか
  • 世界規模で情報をやり取りしている現代においても、結局はスタート地点で差をつけた民族(食料が豊かで、読み書きができ、技術と社会が発達している国)が有利だろう、という予想をトランジスタ技術の発明〜利用を例に述べている。しかし、有線の電話網を飛び越えて携帯電話ネットワークが導入されるような国もあるので、逆転劇の可能性はこれまでの歴史段階よりは高まっているのではないだろうか

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください