トルコのもう一つの顔 (中公新書)
◎
四半世紀前、中東の旅先で出会った日本人からトルコについてすごくいい本がある、と紹介されたのがこれだ。たぶん。
彼が言い間違えたか私が聞き間違えたか、「もう一つのトルコ」だとばかり思っていたので、帰国後、何度か図書館などで探したが見当たらず、あきらめていた。
この度、クルドの地に旅をした若い友人たちのネット上からの情報で、正しい書名を知る。
深い知性に裏打ちされた、軽妙な文体。民族浄化など重いテーマも背後にあるのだが、紀行文として読んでも十分面白い。これは著者の自由な生き方がそのままにじみ出ているのだろう。
続きを読む 「トルコのもう一つの顔」/小島剛一
月別アーカイブ: 2018年10月
「極限力」/山本晃市
極限力 ~Beyond Self~
◎
山岳ランニング界の超人たちが語る、「ゾーンへの入り方」。16人が同じことを言っているようで、それぞれ違うことを言っているような気もする。ちなみに16人のうち、次の方たちは直接見かけたことがあります。
- 横山峰弘氏:2018年上州武尊山スカイビュートレイルのブリーフィングにて
- 松本大氏:2017年スパトレイルのブリーフィング、レース中のエイドにて
- 渡邊千春氏:2017年峨山道トレイルランのゴールにて
- 奥宮俊祐氏:2017年FTRのレース前、およびレース後の現場検証登山にて
- 石川弘樹氏:2018年奥三河パワートレイルのレース中のエイド、ゴールにて
結局、限界を超える方法みたいなものは人それぞれなので多少参考になるかならないか、といったところだろう。
それよりも、日本のトレイルランニングの名勝負の数々が記されているところが良かった。付録の「日本アウトドア・ランニング ショートヒストリー」もよい。
「努力は天才に勝る!」/井上真吾
努力は天才に勝る! (講談社現代新書)
○
ボクサー論というより、子育て論。とてもまじめなお父さんなんだろう、この方は。これだけまじめに努力を続けていたら、そりゃあ息子は天才にも勝るだろう、と思わされる。
「9割の会社はバカ」/石原壮一郎・三矢晃子
9割の会社はバカ:社長があなたに知られたくない「サラリーマン護身術」
○
もっと笑える実例集かと思ったら、本気で働く人の権利を守るための本だった。期待した内容ではなかったので◎にはしないが、大事な知識。
「スウィングしなけりゃ意味がない」/佐藤亜紀
スウィングしなけりゃ意味がない
◎
久しぶりの読書、一気読み。
第二次大戦、ナチス政権下のドイツで、JAZZとアメリカ文化に興じる上流階級の御曹司たちがいたという。私は御曹司ではない(経済的にも、年齢的にも)が、彼らが「おバカの帝国」と自国を罵りたい気分には完全に同調した。主人公=語り手の両親の最期の迎え方には、ちょっと羨望を抱くぐらいだ。
この本、英訳・ドイツ語訳したら結構売れるんじゃないだろうか。