「アルケミスト」/パウロ・コエーリョ

 アルケミスト (海外シリーズ)
 ◎
 小学校高学年くらいから大人まで楽しめる寓話。
 世界的ベストセラーだし、なんとなく噂では聞いていた本。知り合いが、何年か前に読んで人生が変わるきっかけとなった、ということらしいので読んでみた。
 いろいろな捉え方ができる良書だと思う一方、宝物のありかを得るクライマックスは何かヨーロッパの昔話に似たようなものがあった気がする。とはいえ、そこにたどり着くまでの紆余曲折は十分楽しめた。
 そして、いい歳してそこまで影響を受けることはないだろう、という事前の予想に反して、何か半生を振り返って考え込んでしまったのだった。
 

「地と模様を超えるもの」/趙治勲

 地と模様を超えるもの―趙治勲の囲碁世界
 ○
 なんで読もうと思ったのか?何かの記事で紹介されていたのだと思う。
 何事であれ一流の人の考え方には学ぶところはあるが、囲碁のルールを全く知らない私には細部は難解であった。
 「地」「模様」の意味するところ自体がよくわからないが、私の解釈では、石の並びが堅固な陣地なのか、戦略的には意味のない置き方になってしまっているか、という意味付けのようだ。著者の目指す棋風が「それを超えるもの」ということは、一見意味のない捨て石のようでも、後で効いてくることがあるとか、全体を大きくとらえると個々の石の並びにとらわれない方が良い、といった大局観みたいなものだろうか。
 

「朔と新」/いとうみく

 朔と新
 ◎
 「さくとあき」と読む。男二人兄弟の名前である。
 兄の朔は交通事故で視力を失い、陸上の才能のある弟・新を伴走者にブラインドマラソンに挑戦する。
 「伴走者」を検索したときに候補として表示され、評判の良い本だったので読んでみた。
 著者は児童文学系の人のようで、確かに平易で読みやすい小説であるが、大人が読んでも鑑賞に耐える作品である(特に、次男の性格描写や親との関係などなど、二児の父としては身につまされる)。
 朔とは月の逆行現象を指すもの、新とは新月すなわち「見えないもの」がこれから「見えるようになる」ことを表しているのかと思った。が、Wikipediaによるとちょっと違うらしい。いずれにしても、兄弟の名付け方にも、著者の考えが反映されストーリーを暗示しているように思う。
 

「マルクス哲学入門」/田上孝一

 マルクス哲学入門
 ◎
 マルクス主義でも、マルクス経済学でもなく、マルクスの「哲学」入門。
 著作の原典から思想家としてのマルクスの基本的な考え方を導き出し、一般に流布している「社会主義は時代遅れの失敗、マルクスはその理論を作った人」といったイメージとの違いを指摘する。
 

「伴走者」/浅生鴨

 伴走者
 ◎
 勝利への執念を燃やすブラインド・ランナーと、精密な走りが持ち味の「勝てない」伴走者が織りなす、勝負の世界。
 パラリンピック出場権をかけたフルマラソンのレース運びの中に、出会いやトレーニングのエピソードを交え、怒涛のゴールシーンへ。
 一気読み。
 

「非営利組織の経営」/P・F・ドラッカー

 非営利組織の経営―原理と実践
 ○
 とくにアメリカのボランティア組織、キリスト教会などに特化した話。アメリカ文化を理解する上ではよいかも。
 具体的に現代日本のNPO団体などに生かせる内容は少なかったように感じられる。
 マネジメント論というものをあまり読まないのだが、もう少し科学的なアプローチをしているものなのかと思っていた。精神論になっちゃっている気がしました。
 

「アスリートは歳を取るほど強くなる」/ジェフ・ベルコビッチ

 アスリートは歳を取るほど強くなる:パフォーマンスのピークに関する最新科学
 ○
 事例集の域を出ないが、まあ参考になる話もあるかな。著者の語り口は、根拠や効果のないトレーニング法や栄養摂取法であっても、そういう先入観を持たせないように話を進めるので、そこは注意が必要だ。