「サはサイエンスのサ」/鹿野司

 サはサイエンスのサ
 著者の没後に刊行された完全版。表題はブラッドベリ作品のオマージュだろう。
 もとはSFマガジンに連載されていたわけだが、私が雑誌を読んでいた時期とはかぶっておらず、読んだ記憶はない。
 読みやすい口語体で科学や社会のあれこれを語るエッセイ集。手元に置いておき、寝る前に一編ずつ読むのに適している。

「長安ラッパー李白」/大恵和美(編)

 長安ラッパー李白
 ◎
 唐代を舞台としたSF短編集。
 表題作は中国語からの翻訳に感心。
 「腐草為螢」/円城塔、「大空の鷹」/祝佳音がよかった。
 梁清散の「破竹」は解説(紙が発明されず竹簡を使う世界線との行き来)を読んで、ああそういう話だったのか、と知る始末。
 名前だけ知っている十三不塔、立原透耶らの他作品も読んでみよう。